旅商人の趙は、板橋(はんきょう)の町につくと、もてなしがよく親切だという評判の三娘子(さんじょうし)の宿に泊まった。夜中、趙はもれてくる明りに気づき、隣の部屋をのぞいた。すると、おかみさんの三娘子が小箱から小さな人形と牛とすきを取り出した。そして、三娘子が水を吹きかけると、たちまち人形たちは動き出し、土間を耕し、ソバを作り、ソバもちをこしらえた。翌朝、ソバもちを食べた他の客たちは、とたんにロバに変ってしまった。これを陰で見ていた趙は…。
中国唐代の伝奇をもとに再話された話。墨を使った独特の描線と、動きのある力強い絵が、表情豊かで物語の雰囲気をよく伝えている。小学校高学年の男の子たちにも喜ばれる。
■福音館書店 ■1990年
■36p ■27×27cm
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