各種統計・白書を使って調べるには?
【統計について】
ビジネスの成功には、正確な数値データが欠かせません。現在の市場規模の把握や未来の市場動向の予測に使われる数値データには、各種の統計が使われています。 ここでは、政府統計を中心にご紹介します。統計を使うには、以下のようなポイントがあります。
<ポイント1>まずは政府統計に当たってみる
総務省統計局を始め、政府の各省庁がそれぞれ統計を出しています。全国規模の調査が行われ、信頼性も高いです。ただし、公表された統計は、市町村ごとの数値まで得られるものもあれば、都道府県ごとや、県庁所在地の数値しか得られないものもあります。
(例)『家計調査年報』は、県庁所在地である鳥取市の数値のみで、他の県内市町村の数値は掲載されていない。
<ポイント2>民間統計を探す
政府統計以外にも、業界団体や業界専門紙・誌、民間調査会社などの調査による統計があります。
<ポイント3>冊子とインターネット両方の統計を使う
政府統計の場合、同じ統計でも、冊子の形で刊行される報告書には掲載されていないデータが、インターネットでは公開されている場合があります。また、民間統計にも、インターネットでしか公開されていないデータがあります。
統計を使いこなすための参考図書・索引
統計を使うためには、自分が必要とするデータが、どの統計書に載っているのかを調べる必要があります。
◆『ビジネスデータ検索事典 データ&DATA』(日本能率協会総合研究所)
社会経済統計編と業界統計編からなり、Q&A形式で適した統計を紹介しています。巻頭の「統計情報活用のための基礎知識」は統計情報の探し方や読み方の参考になります。キーワード索引があります。
国内で発行された政府と民間の「白書」に掲載された統計資料(表、グラフ)を探すための索引です。さまざまな分野の白書を横断的に調査できるのがメリットです。それぞれの統計資料はキーワードで分類されていますが、キーワード自体の索引がなく、使いにくい点があります。
◆『統計情報インデックス』(日本統計協会 2008年版以降刊行なし)
キーワードから統計が検索できます。ただし、そのキーワードは統計書の書名や、各統計のタイトル、統計内の項目から抽出しているため抽象的であり、具体的にどのようなデータが得られるのかは、それぞれの統計書に当たる必要があります。
政府の各統計・調査を、「人口・世帯に関する統計」などに分類し、その統計・調査を解説しています。その統計から何がわかるかについてはQ&A方式で紹介しています。統計で使われる用語や、それぞれの統計の読み方のポイントが解説されています。キーワード索引はありません。
業界団体や業界新聞社などが作成する民間の統計・調査・白書を40のカテゴリーに分類し、調査の概要や調査品目を紹介しています。キーワード索引は、統計・調査・白書のタイトルに含まれる語であり、調査品目では引けません。巻頭の「市場規模の推計」では、市場規模に関する統計データを扱うポイント、推計の仕方を解説しています。
総合
◆e-Stat:政府統計の総合窓口 (総務省統計局 WEB)
政府がインターネットで提供する、政府統計のポータルサイトです。キーワードでの検索が可能なほか、統計名、分野、管轄府省からも探せます。人口推計など主な指標がグラフで見られる「図表で見る日本の主要指標」、地図上で指定した都道府県や市町村の指標が一覧で見られる「都道府県・市町村のすがた」もあります。
我が国の国土、人口、経済、産業、社会、文化などについて、政府統計、民間統計から基本的なものを幅広く収録した総合統計書です。キーワードで引ける索引があり、求める事柄が探しやすいのも特長です。各分野ごとに、それぞれに収録された統計の解説も付けられています。
『日本統計年鑑』から、さらに基本的かつ重要な統計を選び出し、ハンディな形に編集したものです。索引はありません。
「図会」(ずえ)というタイトルが示すとおり、日本の経済、社会について、幅広い分野にわたるデータを表やグラフで掲載しています。キーワード索引があります。
自治体・地域
社会生活に関する数値について、都道府県ごとのデータを収録しています。「社会生活統計指標」と「基礎データ」の2つのデータがあります。「基礎データ」を"人口1人当たり"のような単位当たりの数値や割合に加工し、それぞれの都道府県を比較しやすくしたのが「社会生活統計指標」です。キーワード索引があります。
『社会生活統計指標』を、各都道府県の指標が一覧できるように再編成したものです。「基礎データ」は収録されていません。
『統計でみる都道府県のすがた』の姉妹版ですが、こちらは全国の市区町村について「基礎データ」のみを掲載しています。
『日本国勢図会』の地域統計版です。タイトルは「県勢」としていますが、「府県のすがた」「府県別統計」のほかに、「市の統計」「町村の統計」として各市町村の主要な統計も掲載しています。キーワード索引があります。
エリアマーケティングの資料です。都道府県別、市区別、町村別に経済、産業、社会、生活、文化分野のデータを収録しています。政府統計のほか、民間統計も多く使われています。索引はありません。
エリアマーケティングの資料です。民力を「生産・消費・文化・暮らしなどの分野にわたって国民がもっているエネルギー」と定義し、関連するデータを収録しています。都市圏や、都市と周辺町村からなるエリアごとのデータに重きが置かれているのが特徴です。都市(圏)・エリア別索引、キーワード索引があります。
鳥取県
鳥取県の統計ポータルサイトです。とりネット(鳥取県公式サイト)で各課や所属が公開している統計情報にリンクしています。分野別、所管部署別のリンクがあるほか、キーワードでの検索ができます。
鳥取県の土地、人口、産業、生活、文化などについての統計がまとめられています。それぞれの統計表では、概ね5年分の数値が掲載されており、鳥取県の移り変わりを把握するのに適しています。
表やグラフを使い、鳥取県の現在の姿を解説しています。データは政府や県の統計のほか、民間の調査報告書などからも採られています。データの情報源は各図表に明示されていますので、元データに当たる場合に便利です。
鳥取県の統計指標を紹介しています。自然、人口、経済、生活、文化の100項目について、鳥取県の実数や、人口当たり、面積当たり、割合などの数値が掲載されています。全国平均や47都道府県中のランキングも合わせて掲載されています。
人口
国勢調査は、我が国のすべての個人・世帯を対象にして行われる調査です。人口、家族の構成、住居の状況、労働形態や職業の種類など、人と住居に関する基本的な項目がわかります。
都道府県別、市区町村別の男女・年齢別人口、世帯数、人口動態がわかります。
消費・生活
「家計収支編」と「貯蓄・負債編」からなります。「家計収支編」では、総世帯、二人以上の世帯、単身世帯のそれぞれについて、用途別(食料、住居など)と品目別(それぞれの食品やサービスなど)の支出額を掲載しています。ここから、それぞれの品目の市場規模がわかります。
(品目の支出額)×(世帯数)=(品目の総支出額)=(品目の市場規模推計)
鳥取県の数値としては、県庁所在地である鳥取市の数値が掲載されています。
5年ごとの調査のため、最新のデータは得られませんが、家計調査では対象になっていない主要耐久消費財(冷蔵庫や自動車など)の所有数量や、購入先(小売店、スーパーなど)、購入方法(現金、カードなど)もわかります。報告書では鳥取県全体の数値までがわかりますが、インターネットで公開されている報告書非掲載表では、鳥取、米子、倉吉、境港、岩美、若桜、八頭、湯梨浜、琴浦、大山、南部、伯耆、江府、および東中西部各経済圏の数値が掲載されているものもあります。
電子マネーやポイントカードなどの利用状況、購入頻度が少ない高額商品(自動車、家具、家電製品など)、高額サービス(歯科診療代、出産入院費、授業料、旅行費など)への支出がわかります。鳥取県のみの数値は掲載されておらず、中国地方の数値が掲載されています。
◆『家計消費の動向 消費動向調査年報』(内閣府経済社会総合研究所)
消費者意識を調査した統計です。消費者の意識(今後の暮らし向きの見通しなど)、物価の見通し、自己啓発、趣味、レジャー、サービス等の支出予定、主要耐久消費財等の保有・買替え状況などを調査しています。
住宅の種類、構造、建て方、家賃などのほか、リフォームやバリアフリー化の状況、最寄りの医療機関や銀行・郵便局までの距離の状況などを掲載しています。鳥取県内各市町村の数値がわかります。
1日の生活時間の配分と、過去1年間における主な余暇活動の状況などを調査しています。 普段の生活の中で睡眠や食事などにどのくらいの時間を使っているか、余暇は何をして過ごしたか(サッカーや読書など)がわかります。鳥取県全体での数値がわかります。
経済全般
経済センサスは、全国のすべての事業所・企業を対象として行われる調査として創設されました。製造業、商業、サービス業のほか、法人経営の農林水産業も対象になります。「経済センサス-基礎調査」と「経済センサス-活動調査」があります。平成21年の「基礎調査」からは、事業所数、従業者数、産業別の内訳、雇用の正規・非正規の状況などがわかります。平成24年の「経済センサス-活動調査」では、経営組織、従業者数、事業内容、売上及び費用の金額、事業別売上高などが調査されました。なお平成24年の「活動調査」の実施により、別項で紹介する「平成23年工業統計調査」「平成21年商業統計調査」「平成23年特定サービス産業実態調査」が中止されました。
製造業
◆『工業統計表』『工業統計調査産業細分類別統計表』(経済産業調査会)
工業統計調査は、製造業に分類される事業所を対象とする調査です。事業所数、従業員数、製品ごとの出荷額などがわかります。データの切り口ごとに「品目編」「産業編」「用地用水編」「市区町村編」「工業地区編」「企業統計編」および「産業細分類別統計表」があります。
◆『紙・印刷・プラスチック・ゴム製品統計年報』(経済産業統計協会)
製造業の品目を対象とする調査です。「工業統計調査」が「製造業」に分類される事業所のみを対象とするのに対し、こちらは品目を対象とするので、より細かい品目で、より多くの事業所の生産・出荷額が集計されています。7種類に分類されています。
販売業
商業統計調査は、卸売・小売業に分類される事業所を対象とする調査です。事業所数、従業員数、年間商品販売額などがわかります。「産業編」(総括表、都道府県表、市区町村表)「品目編」「業態別統計編(小売業)」「流通経路別統計編(卸売業)」「立地環境特性別統計編(小売業)」があります。
本調査は5年ごと、簡易調査は本調査の2年後(平成9(1997年)以後)に実施されています。
卸売業と小売業の販売活動について毎月実施されている「商業動態統計調査」の結果をまとめたものです。品目別の販売額だけでなく、その前年度、前年同期、前年同月に対する増減比率が掲載されるなど、販売業の動向がつかめます。
サービス業
サービス産業動向調査は、サービス業に分類される事業所を対象とする調査です。産業別の年間売上高、従事者数、1事業所当たりの年間売上高、1従事者当たりの年間売上高などを掲載しています。平成25年からは企業も対象とし、提供されるサービスへの需要の増減も掲載されます。
特定サービス産業実態調査は、統計データのニーズが高い特定のサービス産業についての調査です。平成21年からは28業種が対象になっています。サービス業を営む事業所(専業・兼業ともに)が調査対象です。年間売上高、事業所数、従業者数などが掲載されています。鳥取県については、鳥取県全体での数値がわかります。
各統計を、分野別分類(「農家数、担い手、農地など」「6次産業化」など)、品目別分類(「米(経営、生産、消費)」「加工食品(生産、市場・流通、加工)など」、「調査名一覧(50音順)」の三つから探せるようにしています。
農林水産業
6次産業化を見据えた場合、農林水産業の統計も重要です。
農林水産省が経営(所得、生産費など)生産(作付面積、生産量など)流通(出荷量、卸売価格など)について、多くの統計を出しています。
各統計を、分野別分類(「農家数、担い手、農地など」「6次産業化」など)、品目別分類(「米(経営、生産、消費)」「加工食品(生産、市場・流通、加工)など」、「調査名一覧(50音順)」の三つから探せるようにしています。
農林水産省の統計を中心に、他の府省や各種団体が作成したものも収録した、農林水産業の総合的な統計です。農水産加工品の生産や、流通、食品産業に関する統計なども収録しています。
国内外の農林水産業の現状を概観できるように編集されたハンディな統計書です。農林水産省の統計を中心に収録し、「海外事情編」では海外の農林水産業の統計も掲載しています。出典が明示されているので、索引としても使えます。
鳥取県に関する農林水産業の統計をまとめたものです。項目によっては、市町村ごとの数値や、全国、中国地方、日本海西区などの広域の数値、過去5年間の数値が収録されているものもあり、鳥取県の状況を把握するのに便利です。
農林業を営んでいるすべての農家、林家、法人を対象に実施される調査です。生産、就業、経営についての「農林業経営体調査」と、総土地面積・林野面積、農業集落の現況についての「農山村地域調査」があります。都道府県別統計書では、旧市区町村レベルでの数値も得られます。
農林業センサスが実施されない年に行われる調査です。農家数や就業人口など、農業経営と労働力に関する基本的なデータが得られます。
農業の経営状況を把握するための統計です。経営統計では農業・農外所得、粗収益、経営費などを、生産費統計では米・麦類と工芸農作物(原料用かんしょ、原料用ばれいしょ、てんさい、大豆、さとうきび、なたね、そば)の生産費を知ることができます。
農家の経営を考える上で必要な数値である、農家が販売する農産物の品目別販売価格と、逆に農家が購入する農業生産資材の品目別小売価格がわかります。いずれも全国平均です。価格指数も掲載されています。
◆『作物統計』(米、麦、工芸農作物などを収録)(農林水産省大臣官房統計部)
農産物の生産量・流通量から、市場の規模や動向を把握することができます。作付面積、収穫量が掲載されています。
青果市場の月ごとの青果物の卸売数量、価額、価格(円/kg)が掲載されています。
産地別の青果物の、各消費地における卸売量と価格(円/kg)が掲載されています。
家畜ごと(平成25年時点の調査対象は、乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏、ブロイラー)につき飼養戸数・頭数を調べることができます。
畜産物の生産量・流通量から、市場の規模や動向を把握することができます。前者は豚、牛、鶏などの食肉と鶏卵の生産量や卸売価格など、後者は牛乳および乳製品の生産量や移出・移入量などが掲載されています。
日本の森林、林業、林産物、木材産業の現状を概観できるように編集されたハンディな統計書です。農林水産省を中心に、他の府省や各種団体が作成した統計のほか、海外の森林・林業に関する統計も収録しています。
林業の経営状況を把握するための統計です。経営収支、作業別労働時間、単位面積当たりの収益性、生産性などを調べることができます。
水産業を営んでいるすべての世帯や法人を対象に実施される調査です。水産業の生産、就業の現状について把握できます。海面漁業・養殖業、内水面漁業・養殖業のほか、魚市場、冷凍・冷蔵、水産加工場についても調査しています。市区町村ごとの数値が掲載されている項目もあります。
海面漁業の経営状況を把握するための統計です。財産状況、収支状況、操業状況などを知ることができます。
海面漁業・養殖業、内水面漁業・養殖業のそれぞれについて、漁業種類別、魚種別の漁獲量や収穫量を調べることができます。
漁港別・品目別の上場水揚量と卸売価格などの産地水産物流通統計のほか、冷蔵水産物流通統計、水産加工統計など、水産物の流通に関する統計が収録されています。
その他の統計
食品の品目別に生産、輸出入、流通、消費に関する統計を収録しています。また、瓶、缶、自動販売機、食品加工機械などの食品関連資材・機器や、原料である農産物・水産物、海外統計も掲載しています。月報もあります。
白書は政府が発行する報告書です。政治、経済、社会の現状と分析、将来への見通し、また採った施策と今後の計画について、各省庁がそれぞれの担当分野について作成します。年次報告書であり、1年に1回発行されるので、情報が新しく、それぞれの分野の現在の状況を知るのに便利です。なお、地方自治体や民間が発行する報告書や調査レポートにも、政府の白書になぞらえて、書名に「白書」と付けているものがあります。
白書には、政府統計、民間統計、世論調査、アンケート、雑誌論文などから多くのデータが引用されています。数値データは見やすいグラフや図表に加工されていることが多く、変化や構成比が把握しやすくなっています。先進事例が紹介されることもあり、ビジネスデータを入手する上でも役に立ちます。
白書には原局版と市販版があります。
(原局版)国会や閣議に提出されるかたちのもの (市販版)市販されるかたちのもの
原局版と市販版の内容はほぼ同じです。しかし、タイトルと年次の付け方、表紙の装丁、参考資料や付録(CD-ROMなど)の有無に違いがあります。
例:平成25年に発行された『森林・林業白書』
(原局版)
『平成24年度森林及び林業の動向 平成25年度森林及び林業施策』
巻末に参考資料なし
(市販版)
『森林・林業白書 平成25年版』
内容:第1部 森林及び林業の動向 第2部 平成24年度森林及び林業施策
巻末に参考資料あり
鳥取県立図書館では、寄贈を受けた原局版が、市販版と違いがない場合には原局版のみを、参考資料の有無など、内容に違いがある場合には市販版も併せて所蔵しています。
また、白書はインターネットでも公開されています。原局版の場合もあれば、市販版の場合もあります。以下のサイトが便利です。
◆行政サービス・施策に関する情報等(総務省「e-Gov」 WEB)
行政サービス・施策に関する情報ページへのリンクがあります。
最新の年次の白書へのリンク集です。過去の年次の白書へのリンク集も作られています。
以下に、ビジネスと関わりの深い白書を紹介します。