Biz TALK Voice7 白木屋種苗株式会社
白木屋種苗はたくさんの品種を取り揃えているタネ屋さんです。全国の種苗会社のタネを取り扱っておられます。オリジナル野菜の商標登録を行う際に鳥取県立図書館の知財無料相談会に参加され、図書館を活用していただきました。代表取締役の白木さんにこれまでのあゆみをお聞きしました。
会社について
この会社はおかげさまで、明治 12 年(1879 年)創業で１４０有余年続いております。市場のあった川端で米・みそ・糀の販売で開業し、その後種苗業に転じました。鳥取駅のにぎわいに伴って、現在本店の瓦町にタネ屋を併設し会社組織にしたのは昭和 44 年です。私で５代目となります。
商標登録までのみちのり-産業支援機関や図書館との出会い
最初は INPIT 鳥取県知財総合支援窓口の相談対応者さんとのお話をきっかけに私どものタネ屋としての役割に気づき〝鳥取の地方野菜を伝承したい〟ということを相談しました。その際に野菜の名前の商標登録のアドバイスをいただきました。商標登録は初めての経験でしたが、「三宝大甘長 （さんぽうおおあまなが）とうがらし」と「糸かれぎ」の 2 種類を登録することにしました。「三宝大甘長とうがらし」は私の父が種の拡販に尽力し、鳥取の味となりましたのでこの品種を絶やさず伝承したいと思っていました。
「三宝大甘長とうがらし」は鳥取県の特産で、長さ 15～20 ｾﾝﾁほどの大長型のトウガラシです。独特の風味があり辛味がないので、焼いたり、煮たりして食べられています。「糸かれぎ」は鳥取県東部でよく食べられている細い小葱です。何度か刈って収穫することから刈葱(カレギ)と呼ばれ、冷や奴などの薬味に使われていましたが、最近は存在を知らない方が多くなりました。地元の食事処のなかには特産として提供されるお店もあり、逆に県外の方に知名度が高かったりもします。
商標登録までは鳥取県立図書館の知財無料相談会を活用し、弁理士さんにも相談しました。登録には全国のいろいろな名称と重なる障がいがあり、名称のアレンジのアドバイスをいただきながら特許庁に申請しました。弁理士さんのお力も借り、「初夏し ょ か糸かれぎ」は令和 4(2022)年１月１４日に、「三宝大甘長とうがらし」は令和 4(2022)年３月２４日に無事商標を取得することができました。父の代から携わってきたトウガラシの商標登録証を手にした時はとてもうれしかったです。
苦労したこと
「商標登録」の考え方がとても難しかったです。商品やサービスにつけるロゴやネーミングを特許庁に登録することなのですが、自社が使用したいと思っていたネーミングなどを他の企業さんなどがすでに商標登録している場合もありますし、文字が違っていても読み方が同じであれば類似とみなされ拒絶される場合もあります。「三宝大甘長とうがらし」の方は、特許庁より一度差戻されました。弁理士さんや INPIT 鳥取県知財総合支援窓口さんに相談し、「手続補正書」を提出することで登録することができました。ネーミングも財産だと改めて実感しました。
今後の展開
鳥取県や鳥取市のコロナ関連の補助金を活用し、新商品の「初夏糸かれぎ」オリジナル絵袋(湿度の変化や日光の影響から種を守るための袋)と「初夏糸かれぎ」専用の出荷袋を作成しました。現在、より多くの方に知っていただけるようホームページを作成しています。出荷袋は「初夏糸かれぎ」の生産者さんが販売をする際に青果を入れる袋です。「初夏糸かれぎ」の生産者さんへの販売を考えております。農家さんなどと連携して、より良い品質の糸かれぎ生産を模索しながら生産性向上を図っていき、特産品が産まれたらいいなと思っています。
ホームページは現在作成中ですが、「以前鳥取に来て食べた野菜がおいしかった」と言って下さった方たちがこのホームページを見て、鳥取県産の野菜に関心を持っていただいたり、ホームページを通じて全国的に発信できたらと思っています。今後も他品種の商品登録にも挑戦していきたいと思います。
読者へ向けて
私たちのように商標登録などの経験がなくても、何かをきっかけに向かえば取得できると思います。私は弁理士さんやINPIT 鳥取県知財総合支援窓口さんに背中を押してもらったお陰で前に進むことができました。少しでも興味があるなら挑戦してみてほしいと思います。白木屋種苗は太平線通りの本店と駐車場のある鳥取市古海の種苗センターの 2 店舗がございます。季節ごとに苗や種を入れ替えています。ぜひご利用ください。
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白木屋種苗公式 HP
※2023年1月にHP・Instagramを開設