Biz TALK Voice12 稲妻飯店
稲妻飯店は鳥取市鹿野町に令和6年春オープン予定の台湾料理とワインのお店です。2021年9月に開催した鳥取県立図書館主催の「夢・実現スタートアップ創業勉強会」に参加され創業や経営について学ばれたのち、開業のために図書館の本やデータベースなどをご活用いただきました。店主の山田大樹さんにこれまでのあゆみをお聞きしました。
創業のきっかけ・これまでのみちのり
幼い頃から母親の手伝いなどで料理をしており、料理がとても好きでした。鳥取市立気高図書館などでレシピの本をよく読んでいたことを覚えています。料理業界へ進むことになった大きなきっかけは、大学進学のために東京で生活して いた時期に日本初のパクチー専門の料理店で働いたことです。そちらで料理を伝授していただいたシェフは、ユーラシア大陸を横断し、フレンチとイタリアンを学んだ方で、フレンチ・イタリアン・エスニックを掛け合わせた料理を得意とされていました。一緒に働いている時、その方に憧れて自分の店を持ってみたいなと思ったことが転機となりました。
大学卒業後は、輸入食材を取り扱う会社へ就職しました。この会社で、パクチー専門の料理店に勤めていた経験が認められ、世界のスパイス(香辛料)や調味料を網羅する社内用の本を作成する業務に携わりました。その際に世界のスパイスや料理についての商品知識がさらに身についたと思います。
その後いくつか転職したのですが、例えば台湾料理店で台湾料理の知識を学び、高齢者施設で大人数の食事を調理する経験を積みました。さらにはワインバルでワインと料理の融合について勉強するなど、日々様々な知識を身につけてきました。ワインバルに勤めていた際に、期間限定でワインに合う台湾料理をお客様に提供する機会がありました。お客様に大変喜んでいただくことができ、一見意外にも思える台湾料理とワインの組み合わせに自信が持てました。この料理の組み合わせで勝負してみようと思い台湾料理とワインのお店で創業する決断をしました。
そのほかにも、タイ、マレーシア、フィリピン、韓国、カナダ、アメリカ(ハワイ)、ベルギー、イタリア、オランダ、フィンランド、エストニアなどを訪れて現地の食文化にも触れるなどし、新たなレシピの開発などにも努めています。
産業支援機関や図書館との出会いー商品開発のきっかけ
もともと"図書館"と"本"は自分の身近にあり、子どもの頃からレシピ本を見ながら料理を作っていました。
そろそろ独立したいなと思っていた時期に家族から勧められたのが鳥取県立図書館主催の「夢・実現スタートアップ創業勉強会」でした。その当時、私は東京在住でコロナ禍のため鳥取には帰れなかったのでオンラインで参加しました。事業計画書の書き方や「創業とは何か?」「何から始めればよいのか?」など創業について学びました。その後2023年に鳥取県にUターンし、鳥取県立図書館で商圏分析を利用し創業する地域の動向なども調べました。
古い町並みが好きなので、店舗を決める際には鹿野のNPOまちづくり協議会さんに相談しました。そこでいくつか物件を紹介していただき、鹿野に出店を決めました。そのほかにも県庁や市役所などで補助金についても尋ね、鳥取県よろず支援拠点さんにもお世話になりました。
図書館が創業したい方たち向けにビジネス支援などをしていることは知りませんでしたが、私は使えるものは全部使いたいと思っていますので、無料で創業についての相談会などが受けられるのは非常にありがたかったです。鳥取県立図書館にはレシピ本や食文化誌の本や料理関連の雑誌も多数取り揃えてあり、書店に行くより手軽で手に取りやすいため今でもたくさん読んでいます。
開業に向けて~苦労したことやよかったこと
鳥取にUターンするまで長年東京にいたので、東京と鳥取の消費動向の違いを知ることにとても苦労しました。イベントに参加することで鳥取県の方の消費動向をつかむように努めていますが、東京と鳥取ではテイクアウトの文化や子どもを連れて居酒屋に行かないなどの文化が異なります。私の店は料理だけでなくワインも楽しんでほしいのですが、お子様連れの層が受け入れてくれるかどうか、その文化を創り出せるかどうかが大事になってくると思います。
昨年末から店の準備と並行してマルシェなどのイベントにも参加し、デイサービス用の仕出弁当のご注文や、ケータリング、地域のイベントでの食事用の重箱のご注文をいただきました。お店のオープン前に自分の料理を食べていただき「稲妻飯店」をPRできたのでとても良かったです。
地元の食材を見つめ直せる場所に~今後の展望~
鳥取県の山にはフキノトウ、ハチク、ツクシ、フキなど様々な山菜があり、野山の資源がたくさんあります。鳥取県の野山が身近に広がる地域で育ってきたので野山の資源の食べ方を子どもたちにも知ってもらい、新たに地元の食材を見つめ直せるお店になれば良いと思います。「稲妻飯店」で提供する山菜を食べてみて、「おいしかったから採りに行ってみよう」、「里山の管理をしてみよう」など興味や関心を持っていただけるような食育の場にしていきたいです。また東京のように気軽に夜に外食をしたり、お酒を飲みに出かけられるような新しい文化を創造できるような店づくりをしていきたいです。それだけでなく、注文があればテイクアウトのお弁当も販売し、オリジナルの麻婆豆腐の素やル―ローハンの具材の真空パックなども販売できたらいいなと思っています。
読者へ向けて
創業に挑戦したいと思ったら声に出して誰かに聞いてみることがとても良いと思います。図書館は気軽に尋ねられる場所ですし、行政機関の担当者に直接聞くなども良いと思います。
自分でインターネットを調べても膨大な情報があり、その中から探していくことはとても難しく大変な作業ですので、的確なアドバイスがもらえる専門機関に頼っていくのが良いと思います。
稲妻飯店のPR
お酒を飲む人口が減っている昨今ではありますが、お酒と料理の組み合わせはとても面白いと思っています。"お酒と料理の相性や食文化の背景を知って食に興味を持つことで日本の食を見直す"そんなお店にしていきたいと思っています。小さなお子様からご年配のお客様まで楽しめる料理を提供しています。辛い食べ物が苦手な場合は唐辛子を抜いてほしいなど様々なご要望にできる限り対応いたします。ぜひ皆様お越しください。
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