鳥取県立図書館資料収集方針
平成4年4月制定
平成28年9月最終改正
(目的)
第1条 この方針は、鳥取県立図書館(以下「県立図書館」という。)における図書館資料の適正かつ有効な収集を図るため、必要な事項を定めることを目的とする。
(収集の基本方針)
第2条 県立図書館が収集する資料は、図書館法(昭和25年法律第113号)第3条第1号に規定する図書館資料とし、その種別は次条各号のとおりとする。
2 資料収集に当たっては、図書館法、図書館の自由に関する宣言など関係の規程等を踏まえ、次の事項を基本的な方針とする。
(1) 鳥取県文化の発展に寄与し、県民の持つ多様な要求に応えるため、その調査、研究、教養、趣味、娯楽等に必要とされる資料を、幅広く計画的に収集する。
(2) 基本的人権のひとつである、知る自由を保障するため、あらゆる思想、信条、学説、宗派に対して、それぞれの観点に立った資料を、公平かつ幅広く収集する。従って、図書館の収集した資料がどのような思想や主張をもっていようとも、それを図書館及び図書館員が支持することを意味するものではない。
(3) 個人・組織・団体からの圧力や干渉によって収集の自由を放棄したり、紛糾をおそれて自己規制したりしない。
(4) 市町村図書館等に対する援助と、図書館活動推進のための資料を収集する。
(5) 小・中・高等学校、特別支援学校図書館等に対する援助と、図書館活動推進のための資料を収集する。
(6) 鳥取県の文化的、風土的特性に立脚した、特色ある資料の収集をすすめ、特に郷土に関する資料(以下「郷土資料」という。)の収集に留意する。
(7) 本県の経済・産業・文化の発展に貢献し、県民一人ひとりの生活や仕事に役立つよう、専門学術書など地域と個人の課題解決の支援に必要な資料を積極的に収集する。
(8) 環日本海交流をはじめとする本県の国際交流の施策に沿った資料を積極的に収集する。
(9) メディアの多様化に対応し、紙媒体資料や映像録音資料等と併せて、電子資料・情報の収集に努める。
(種類別収集方針)
第3条 資料の収集は、前条の基本方針を踏まえ、次の各号に掲げる種類ごとに、当該各号に定める収集方針に沿って行うものとする。
(1) 図書
ア 図書は、基本的資料を中心として、各分野にわたり幅広く収集する。さらに、必要に応じて高度で、専門的な資料についても収集する。
イ 外国語図書は、基本的資料及び外国語で書かれた日本に関する資料を幅広く収集する。
(2) 逐次刊行物
ア 新聞は、代表的一般紙のほか、地元紙及び各種の代表的専門紙を収集する。縮刷版及びマイクロフィルム版についても、必要に応じて収集する。外国語新聞については、信頼性があり、定評のあるものを収集する。
イ 雑誌は、各分野における主要なもの、調査研究に必要なもの、時宜にかない利用度の高いもの及び地元発行のものを収集する。外国語雑誌は、国際的に定評があり、日本との関係が深いものを収集する。
ウ その他の逐次刊行物は、必要に応じて収集する。
(3) 電子資料
ア 電子情報は、鳥取県関係の情報を中心に、収集・保存する。
イ 電子出版物(CD-ROM、DVD-ROM等)は、通常の印刷物より利便性が高く、調査研究に役立つものを収集する。
ウ ネットワーク系資料(オンラインデータベース)は、調査研究及びレファレンスに有用なものを厳選し、環境を整備する。
(4) 映像録音資料
ア カセットテープ、コンパクトディスク、ビデオテープ、ビデオディスク、映画フイルム、スライドフイルムなど
の資料は、教育的、記録的、文化的価値を勘案し、厳選して収集する。
イ 具体的な収集については、別に指針を定める。
(5) その他の資料
地図、パンフレット、マイクロフィルム等を、必要に応じて収集する。
(目的別収集方針)
第4条 目的別の資料収集方針は、次のとおりとする。
(1) 参考図書
県民が調査研究を行うために必要な、辞書、事典、便覧、統計、年鑑等を、各分野にわたり、系統的に収集する。
(2) 郷土資料
ア 鳥取県の歴史、風土、政治、社会、文化等に関する郷土資料は、図書を中心とし、古文書・記録、映像録音資料も含めて積極的に収集する。
イ 県内各地域で発行される雑誌、新聞、各種団体等の機関誌、記念誌などは継続的に収集する。
ウ 鳥取県人の著作、各種関係資料などは、網羅的に収集する。
エ 鳥取県、各行政委員会及び県議会が作成し、発行する資料は、網羅的に収集する。この場合において、類縁機関、特に県立公文書館との連携に努める。
オ 県内市町村の発行する資料については、基本的な資料を継続的に収集する。
(3) 市町村図書館・学校図書館等貸出用協力図書
市町村図書館及び学校図書館等の実態を考慮し、多様な資料要求に応ずるよう努める。
(4) 児童図書
子どもが豊かな人間性を養うことのできる資料を収集する。各分野の評価の定まった資料は、系統的に収集し、充分な複本を揃える。また、児童図書及び児童文化を研究するため資料の収集に努め、特に新刊児童図書は、選定見本として、積極的に購入する。
(5) 障がい者・高齢者用資料
点字図書、録音図書、大活字本等を必要とする障がい者・高齢者のために、その収集に努める。また、障がい者・高齢者を理解するための資料を収集する。
(6) 環日本海関係資料
ア 鳥取県と交流を行っている環日本海諸国(韓国・中国・ロシア)に関する資料及び各言語で書かれた資料を収集する。
イ 具体的な収集については、別に指針を定める。
(7) 特色ある資料
鳥取県の地域的、伝統的特性を生かし、もって現代社会の当面する課題に対応するため、次の資料は積極的に収集し、その充実を図る。
・野鳥に関する資料
・紙に関する資料
これらについては、単に関連図書のみでなく、代表的逐次刊行物、映像録音資料も収集する。
(資料収集における留意事項)
第5条 資料の収集に当たっては、次のことに留意する。
(1) 客観的に公正な立場で選定する。
(2) 新刊情報誌、カタログ等各種の出版情報、書店等からの現物見計らい、利用者等からのリクエストなどを、広く活用する。また、全国各地のすぐれた 地方出版物について、必要な情報を得るよう努力し、収集に努める。
(3) 現代社会の当面する諸問題に、常に関心を持ち、新しく展開している主題の資料は、時期を逸することなく、積極的に収集する。
(4) 同和問題をはじめとする人権問題に関する資料は、積極的に収集するものとし、別に指針を定める。
(5) 寄贈による以外、入手が困難な資料については、発行者等に積極的に働きかけて収集を図る。
(6) 郷土資料、基本的な児童図書は、原則として複本を収集する。その他の利用頻度の高い資料も、必要に応じて、複本の収集を考慮する。
(7) 常に新鮮で、利用者の期待に応え得る資料を維持し、充実させるため、資料の更新を適切に行う。
(8) 郷土資料の収集及び保存、利用については、他の図書館及び博物館、公文書館、教育センター等の類縁機関と常に協力する。
(9) 一部の専門家に向けて書かれた特殊な主題に関する資料は、慎重に選定する。
(10) 次のものは、原則として収集の対象としない。
ア 学習参考書、受験参考書及び問題集
イ その他、県立図書館資料として不適当なもの。
(11) 資料の収集は、新刊書を中心に行うが、必要に応じて、古書の収集も行う。
(12) 幅広い収集を図るため、類縁機関等から専門書の収集に関して助言を受けるとともに、県民の要求に積極的に応える。
(資料の選定と収集)
第6条 資料の選定は、選定委員会において行う。リクエスト本についても、同様とする。
2 選定委員会は、館長、副館長、各課・係長及び環日本海交流室長で構成し、委員長は館長とする。館長が不在のときは、副館長が委員長の職務を代行する。
3 選定委員会の会議は、原則として週1回開催するものとし、資料課が運営する。
4 資料選定の精度を高めるため、選定リスト及び見計らい図書を、予め各職員でよく検討し、その予備選定に基づいて会議で協議を行い決定する。
5 寄贈資料についても、この方針に基づいて、受入を決定する。
(その他)
第7条 この方針に定めるもののほか、その運用等に関し必要な事項は、別に定める。