資料3-1 鳥取県視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画に係る現時点での評価等(概要版) 令和6年11月 1  「鳥取県視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画」について 令和元年に施行された「視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(以下「読書バリアフリー法」という。)を受け、読書バリアフリー法の理念をさらに具体化し、障がいの有無にかかわらず全ての県民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恩恵を受けることができる社会の実現に向け、全国に先駆けて令和3年3月に 「鳥取県視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画」(以下「計画」という。)を策定した。 (1)計画の位置付け 本計画は、読書バリアフリー法第8条第1項の規定に基づく、鳥取県における視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画とする。(教育委員会(図書館)と知事部局(障がい福祉課)の共管) (2)計画の期間 令和3年度から令和7年度まで (3)基本的な方針  ア アクセシブルな電子書籍の普及及びアクセシブルな書籍の継続的な提供  イ アクセシブルな書籍等の量的拡充・質の向上  ウ 視覚障がい者等の障がいの種類・程度に応じた配慮 (4)施策の方向性  ① 出版情報の共有等、県内図書館、関係団体等との連携によるアクセシブルな書籍等の充実  ② ライトハウス点字図書館の製作によるアクセシブルな書籍等の充実  ③ 視覚障がい者等が身近にある図書館を円滑に利用できる環境づくり  ④ 県民・市町村立図書館等への読書バリアフリー情報の周知  ⑤ 県立図書館の読書バリアフリー関連サービスの充実  ⑥ 学校図書館での支援の充実に向けた教職員研修と体制整備  ⑦ 視覚障がい等のある児童・生徒・学生の読書環境の保障  ⑧ ライトハウス点字図書館による読書機会の提供と利用支援  ⑨ 県立・市町村立図書館等へのライトハウス点字図書館のノウハウ普及とサービス実施環境の整備  ⑩ 関係機関との連携等による視覚障がい者等への国立国会図書館やサピエ図書館のサービス周知  ⑪ 国立国会図書館やサピエ図書館のサービスの研修・情報発信等による普及  ⑫ 障がいの特性に応じた読書バリアフリー関連サービスや提供体制等の充実  ⑬ ライトハウス点字図書館による、特定書籍や特定電子書籍等の製作者への製作手順等の共有  ⑭ 特定書籍等の製作ノウハウの共有や製作された書籍等の情報共有等による製作の効率化  ⑮ ライトハウス点字図書館・県立図書館による郷土出版物を刊行する出版社との情報交換  ⑯ 視覚障がい者等への端末機器等の情報提供と利用方法の習得支援  ⑰ 視覚障がい者等へ機器等の利用習得支援を行う県立・市町村立図書館職員への研修  ⑱ 学校における支援に向けた端末機器等の情報や利用方法についての各教育委員会等への周知  ⑲ 障がい者サービスに関する研修等の実施による司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上  ⑳ 製作基準の共有やノウハウ等の取得に係る研修実施による点訳者・音訳者、アクセシブルな電子データ製作者の資質向上  ㉑ 点訳者・音訳者、アクセシブルな電子データ製作者の人材の確保、活動支援  ㉒ 技術の進歩に応じた製作人材や製作体制の確保 2 計画に係る現時点での評価等について (1)評価の趣旨  計画期間の中間の年となる令和5年度の実績が明らかになったことから、今後の取組や計画の次期改訂に生かすため、本計画の進捗について把握すると共に、課題等について関係者の意見を聞きながら現時点での評価を行った。  (2)評価の方法 ア 評価方針  計画の22項目の施策の方向性について、関連する事業の取組状況と計画に掲げた指標の達成度による定量評価に加え、数値に現れない部分を補うために鳥取県読書バリアフリー推進に係る関係者協議会(以下「読書バリアフリー協議会」という。)、関係先からの聞取りなどでいただいた意見による定性評価を勘案して評価を行った。 イ 評価   評価は、AからDの4段階評価とした。  評価区分A:既に達成  評価区分B:順調(計画通り進んでいる)  評価区分C:やや遅れている(計画通り進んでいるが多少の見直しが必要)  評価区分D:遅れている ウ 対象期間   令和3年度から令和5年度まで 3 評価の結果  施策の方向性22項目中、21項目がB評価、1項目がC評価となった。  評価区分 A 既に達成 0項目  評価区分 B 順調 21項目  評価区分 C やや遅れている 1項目  評価区分 D 遅れている 0項目 (1)B:順調(計画通り進んでいる)  ア アクセシブルな書籍等の充実【施策の方向性①と②】  ・関係団体等と連携し、出版情報の共有や当事者等のニーズ把握に努めたこと等により、県内のアクセシブルな書籍等が充実した。また、ライトハウス点字図書館による順調な製作も、充実につながっている。  イ 円滑な利用のための支援の充実【施策の方向性③から⑨】  ・県民を対象としたイベントの開催や出前図書館の実施、図書館職員や学校関係者を対象とした研修や講座の開催等による普及・啓発等により、県民及び市町村立図書館・学校図書館への読書バリ アフリーへの理解と普及が進んだ。また、当事者等のニーズ把握に努めながら環境を整備し、読書支援機器の充実や電子書籍サービスをはじめとする県立図書館のサービスや情報提供体制が充実した。  ・ライトハウス点字図書館では、アクセシブルな書籍や読書支援機器の整備・情報提供により、ライトハウス点字図書館の利用登録者数が増加する等、円滑な利用のための支援が充実した。  ・特別支援学校における図書館活用講座のように、子ども達の卒業後の図書館利用につながる等の成果が見えてきたものもあり、今後も継続して実施していきたい。  ウ インターネットを利用したサービスの提供体制の充実【施策の方向性⑩から⑫】  ・関係機関・団体等と連携して普及を図ってきたことにより、国立国会図書館視覚障がい者等用データ送信サービスやサピエ図書館についての周知が進んだ。国立国会図書館のサービス利用は、県内の特別支援学校の参加館が増加し、子ども達の読書環境の向上につながった。  エ 特定書籍・特定電子書籍等の製作支援の推進【施策の方向性⑬から⑮】  ・製作のノウハウ等の情報共有やライトハウス点字図書館によるサピエ図書館との情報交換等により、特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援が進んだ。  オ 視覚障がい者等へ機器等の利用習得支援を行う図書館職員・学校関係者の理解促進【施策の方向性⑰と⑱】  ・研修等の実施や、市町村立図書館への機器の貸出等により、利用習得支援を行う図書館職員・学校関係者の理解促進につながった。  カ 製作人材・図書館サービス人材の養成【施策の方向性⑲から㉒】  ・研修等の実施や情報交換に努めてきたことにより、司書、司書教諭・学校司書、職員等の読書バリアフリーへの理解が進んだ。また、ライトハウス点字図書館による研修や製作指導、県内図書館の情報交換等により、点訳者・音訳者、アクセシブルな電子データ製作者等の人材の養成が進んだ。 (2)C:やや遅れている(計画通り進んでいるが多少の見直しが必要)  ア 端末機器等の情報提供及び機器利用方法の習得支援【施策の方向性⑯】  ・様々な読書媒体や読書支援機器等について、機会を捉えて積極的な広報等に努めてきたことにより周知が進んだが、指標としているアクセシブルな書籍等を利用するための端末機器については、貸出数が減少すると共に新規の利用が伸び悩んでいる実態がある。  ・当事者のニーズ把握に努めると共に、県民及び図書館関係者等への端末機器等に関する情報提供や活用方法についての習得支援を行い、普及と周知を進める必要がある。  ・アクセシブルな書籍等を利用するための端末機器の貸出数の減少した要因として、録音図書再生機の貸出数には、個人貸出の他に市町村立図書館への貸出数も含んでいるため、市町村における再生機の整備が進んできたことも考えられる。  ・個人貸出についても、市町村が実施主体となる視覚障がい者への日常生活用具給付等事業を利用した購入により再生機を利用される方が増えたことが考えられる。また、録音図書再生アプリの開発等のICT環境の変化により、個人のパソコンやスマートフォン等で再生できる環境が進んできたことも、貸出が減少した一因と考えられる。  ・サピエ図書館等でインターネットを通じた個人利用を行えば、図書館を通さなくても、パソコンやスマートフォンを利用して読書を楽しむことができるため、今後はこうした情報の一層の普及を図る必要がある。一方で、これらの普及により図書館からの貸出は減少していく側面もあるため、読書環境の変化を踏まえた指標の見直しも必要となってくる。 4 課題 (1)読書バリアフリー推進に係る普及・啓発活動について   ア 県民への普及啓発を一層進める必要がある。特に、高齢者、上肢障がいのある方、一般校に通う支援が必要な子ども達へ十分に情報が届いていない。出前図書館を実施した際等、大活字本や録音図書について「知らなかった」「利用したい」と言われる高齢者が多い。   イ サピエ図書館の普及に向けた取組を進める必要がある。利用方法を含めた県民への広報と共に、市町村立図書館をはじめとする図書館関係者への理解促進を継続して図っていく必要がある。   ウ 大学等への周知が不足しているため、一層の情報提供に努める必要がある。   エ アクセシブルな書籍等の利用を促進するため、端末機器等の情報を普及する必要がある。 (2)環境整備について   ア 当事者等のニーズ把握に努め、図書館サービスの内容や提供体制等の一層の充実を図る必要がある。   イ 身近な図書館を円滑に利用できるよう、引き続き県内図書館との情報共有を図りながら環境整備を進める必要がある。 (3)特定書籍・特定電子書籍等の製作支援、製作人材の育成・人材確保について   ア 製作に携わる人材の不足が課題となっている。関係者間で連携しながら人材確保・育成に向けた取組を一層強化していく必要がある。   イ 製作のノウハウの情報共有等、製作の効率化のための取組を進める必要がある。 5 今後の主な取組予定 (1)令和6年度から令和7年度の取組予定   引き続き、県内の視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に向け、関係機関・団体等と連携し、計画に沿った取組を実施する。これまでの成果と課題を踏まえ、特に次の取組を進める。   ア 読書バリアフリー関連情報が当事者や関係者に広く知られるよう広報の強化。   イ 国立国会図書館及びサピエ図書館が提供するインターネットを利用したサービスの普及。   ウ アクセシブルな書籍等の製作に携わる人材確保や育成の促進。 (2)次期計画の改訂 本計画の取組による成果と課題、国の動向、読書環境の変化等を踏まえ、見直しを行う。 (3) 今後のスケジュール 令和6年度  令和6年11月29日  第2回読書バリアフリー協議会:評価(第1回の意見、関係団体等への聞き取り反映版)について  令和7年2月   ・2月定例教育委員会 改訂方針、次期計画の基本方針・構成について協議   ・第3回読書バリアフリー協議会  改訂方針、次期計画の基本方針・構成について協議 令和7年度  令和7年5月 第1回読書バリアフリー協議会:次期計画の骨子案について協議  令和7年6月 6月定例教育員会:次期計画の骨子案について協議    令和7年7月 第2回読書バリアフリー協議会:次期計画の改定案について協議  令和7年8月 8月定例教育委員会:次期計画の改定案について協議    令和7年10月 第3回読書バリアフリー協議会:改定案(意見反映版)、パブリックコメント案について協議  令和7年11月 11月定例教育委員会・常任委員会:改定案(意見反映版)、パブリックコメント案について協議  令和7年12月  〔パブリックコメントの実施〕            令和8年2月   ・第4回読書バリアフリー協議会:パブリックコメント報告、改訂案(パブリックコメント反映版)について   ・2月定例教育委員会・常任委員会:パブリックコメント報告、改訂案(パブリックコメント反映版)について    その後 知事・教育長の決裁を経て、計画改訂(第2次計画策定)の公表  令和8年度  令和8年4月   ・4月定例教育委員会・常任委員会:計画改訂(第2次計画策定)の報告