令和6年度第2回鳥取県読書バリアフリー推進に係る関係者協議会(概要) 【日時】令和6年11月29日(金) 午前10時から正午まで 【会場】鳥取県立図書館大研修室(会場参加とオンライン参加(Zoom)によるハイブリッド開催) 【出席者】委員15名(会場参加8名、オンライン7名)、オブザーバー4名、事務局11名(資料1のとおり) 【概要】 1 報告事項  (1)鳥取県視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画に係る現時点での評価等について    県立図書館から、以下の説明を行った。    ・当会議に加えて図書館協議会、県の教育委員からいただいた意見を評価に反映したこと。    ・評価の名称を「中間評価」から「現時点での評価」へと変更したこと。    ・資料3-1から資料4により、計画に記載された施策の方向性22項目中、21項目が「B順調(計画通り進んでいる)」、1項目が「Cやや遅れている(計画通り進んでいるが多少の見直しが必要)」の評価となったこと。    ・評価「Cやや遅れている(計画通り進んでいるが多少の見直しが必要)」は、アクセシブルな図書の専用端末機器の利用に関する項目で、県立図書館の貸出数が目標に比し伸び悩んでいることを反映した。貸出しの伸び悩みは、計画策定当時に想定していなかった市町村立図書館や個人での端末整備の進展等が背景と考えられるため、次期計画では目標の設定を見直す必要がある。   (2)質疑応答   (委員)高齢者団体、肢体不自由児者団体では、アクセシブルな図書は会員の方へ認知されて広まってきているか。   (委員)肢体不自由児者団体の会員には、あまり知られていないので、引き続き啓発を行っていきたい。   (委員)県立図書館の訪問を受けるまで高齢者にも役立つツールがあることを知らなかった。今年になってから普及対応を頑張っている。   (県立図書館)今年度は高齢者団体、肢体不自由児者団体の行事でアクセシブルな資料を展示した。今後も周知啓発を継続していく。  (委員)一般校に通う読み書きに障がいのある子どもに対して、マルチメディアデイジーを利用することで教育的に良い結果が出ているのか。   (特別支援教育課)現場の様子を正確に把握することは難しいが、間接的な取組を通じて地域の学校の取組の改善・向上に役立てたい。今年度はLD等専門員の連絡会で周知を図った。また、その他にも市町村教育委員会の担当者会での周知・広報等も検討していきたい。   (委員)普通学校に通う読書に支援が必要な子どもへ丁寧な指導を行うために、特別支援教育課だけでなく普通校担当課も事務局へ入ってほしい。 2 協議事項 (1)「鳥取県視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画」改定に向けて   ア 国の第二期計画策定の状況について    佐藤議長から、国の計画改訂(案)等について次の通り説明した。    ・新たに14項目の指標(数値目標)を設定。    ・障がい者のアクセシブルな図書の利用スキルを向上するためのICTサポートセンターの充実が盛り込まれた。    ・公立図書館等の職員の資質向上へ向けた研修会の充実が盛り込まれた。    ・特定書籍等の製作に係るデータ提供のあり方について、点字・デイジー等の資料製作を行う図書館・点字図書館へ製作に有効なテキストデータ等を出版社から提供するための方法を検討するワーキンググループを設置し検討中。     イ 鳥取県視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画改訂に向けて    ・資料5に沿って、県立図書館から現行計画の取組の評価によって明らかになった課題と国の計画改定の動きを説明し、今後どのような取組が必要となるか委員に意見を求めた。    ・併せて、計画改訂に向けた次年度以降のスケジュールを説明した。    ・委員の意見・質疑は以下のとおり。   (ア)普及啓発活動について     (委員) 県内の人権関係のイベント等でチラシの配布や啓発活動を実施したらよいのではないか。     (委員) 肢体不自由児者父母の会連合会の理事会や県内各地区の大会等で普及へ向けた取組をしていくとよいのではないか。ぜひ一度参加してほしい。     (委員) 資料4に、普通学校へ通う読書に支援が必要な子どもへマンガの啓発チラシの配布等を検討しているとあるが、(そういった障がいのある子どもに)マンガが有効というエビデンスがあって取り組んでいるのか。外部の専門家に協力を仰ぎ、エビデンスに基づく取組を行ってほしい。     (委員) 読書バリアフリーを展開することは、読み書きに困難のある子どもの経済的自立につながり、今後の医療費・介護費用の増額を抑えられる。   (イ)環境の整備について     (委員) 誰もが紙の本が好きというわけではないので、読む物(媒体)の種類が増えて、普及啓発が進めばよいと思う。     (委員) 図書館職員は、サピエを自館で利用するだけでなく、当事者に教えることができるように操作方法を身に付けてほしい。     (委員) 長期療養中など公共図書館まで相談に行けない方も多い。支援機器の給付範囲拡大も含めた当事者の身の回りの読書環境を整備することが重要。     (委員) 読書に困難を感じている子ども達へのICT分野の読書支援について、県全体として将来を見据えた継続的な支援にどう取り組むかが今後の課題。従来からの連携先に加えて、鳥取県障がい者ICTサポートセンター等支援機関のサポートが求められるのではないか。     (委員) 読書バリアフリー法の対象者と心身障がい者用ゆうメール制度の対象者が異なるため、アクセシブルな図書が必要でも制度を活用できない方がある。制度の拡充を期待している。   (ウ)特定書籍・特定電子書籍等の製作支援・制作人材の育成・人材確保について     (委員) 音訳者の養成には研修が重要。誰でも参加しやすい形で実施してほしい。    (委員) 現在は特定書籍等の製作をボランティアに頼っているが、在宅ワークで点訳やデイジー製作等に取り組むシステムがあれば、若い人の人材確保につながるのではないか。     (委員) 電子書籍について出版社と図書館の間にミスマッチが起こっている。図書館側から購入前提で電子化の要望があれば、地元の事業者を含めて出版社側も電子化の方向へ向かうのではないか。また、既に出版されている本をさかのぼって電子化することは権利面から難しい。    (県立図書館)当館の電子書籍の選書方針では読書バリアフリーに資するものや鳥取県に関する資料を積極的に選書することとしており、関係事業者との情報交換・意見交換を進めていきたい。   (佐藤議長)ヨーロッパでは来年6月からアクセシブルな電子書籍しか販売できない。日本はこの分野で大きく遅れているが、鳥取県が出版社といい形で取り組むことができれば先進事例になる。  (エ)その他     (委員) デイジー再生機器等について、日常生活用具給付制度の対象者が広がるとよい。     3 その他    事務局から、来年2月に第3回読書バリアフリー推進に係る関係者協議会を開催予定であることを確認した。